こんばんは。
20.2 ℃ 雨
◇
アラームに目を覚まし、
空の灰色が滲む天井を布団の中から見上げる。
一日のスイッチを入れるのを尻込みしていると、
去りゆく夢がその尻尾で僕の足を払い、
新たな夢に僕を突き落とす。
夢が夢を強要するなんて、
おかしな話かも知れ無いけれど、
そういう事も確かにある。
瞬きしただけだと思うも、
時計は1時間進んでいる。
1時間の瞬き。
おかしな話かも知れ無いけれど、
そういう事も確かにある。
布団から這い出し、
朝食の用意を始める。
その手際と速度に頭の覚醒具合を量る。
◇
車を「転がす」という言い方が好きだ。
「運転する」より趣があるし、
日に焼けて色の抜け切った気障(きざ)さもある。
「お茶しに行く」と同時代的な言葉かもしれないが、
「お茶しに行く」はその「褪色具合」も含め好みではない。
わがままなんだろうか?
そんな事を考えながら車を「転がす」。
ただでさえ鈍い色のぐるりを、
サングラスがより一層鈍くしてくれる。
その時(歴史は動か無かったけれど)、
車内に切ない歌が流れる。
帰る家を持たない類のセンチメントとしばし戯れる
(染まり切ら無いのが年の功。
それは進化であり、同時に退化だと思う)。
歌が終わると、
室内に迷い込んだ羽虫の様にそいつを窓から出してやる。
それでも鱗粉の様な余韻は暫く居残る。
その居残り具合に精神状態を量る。
「雨だろうが晴れだろうが」
そう言い切れるかどうかも、
やはり「物差し」だと思う。
SIMON
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